仕事のツライを軽くする ココロの健康管理術(第9回)
執筆者
株式会社オフィシア代表
原 美聖
同じ職場で仕事を続けていると、 「今の仕事は自分に合っているのだろうか?」と、ふと考えることってないですか。たまに会う友人はイキイキとしているのに、自分は目の前の仕事で手一杯。 「本当に自分のやりたい仕事だろうか?」 「ほかに天職があるんじゃないか?」――そんなことを考えてしまうのも合っていないからじゃないかと思うかもしれませんが、ある程度仕事を経験した人が自分のキャリアを考えるのは、実は自然なことなのです。
仕事の価値観を再確認
キャリアに不安を感じたときの対処方法には、いくつかのポイントがあります。
まずは「自分の軸」をはっきりさせること。仕事をしていくうえでこれだけはどうしても譲れないものは何かを、再確認してみましょう。挑戦、安定、専門性、チームワーク、社会貢献、ワーク・ライフバランスなど、いろいろあると思います。
その際、大切なのは「自分はどうありたいのか」と「どのように仕事をしていきたいのか」という自己像と未来像です。 〝WHAT〟ではなく〝HOW〟で自己分析をして、仕事に対する価値観を再確認してみましょう。
そのためにも一度、あなたの職場の使命(ミッション)と実現したい未来像(ビジョン)を、上司や先輩、同僚と話す機会を設けることをお薦めします。熱い語り合いはエネルギー源にもなります。
そして、就職してから今までを振り返って、資格・経験・強みなど、仕事の棚卸しをしてみてください。特に「自分の身になったこと・得られたこと」を挙げてみましょう。ここで大事なのは、失敗や挫折などマイナスと思われた経験や悩みも、実はプラスの糧になるという柔軟な発想です。
悩むときにこそ成長
これまで培ってきたネットワークを思い起こし、自分を真ん中に置いた「人とのつながりマップ」を作ってみるのも良いでしょう。そのマップの中にいるのは、あなたをサポートしてくれる大切な人々です。相談すれば、良いアドバイスがもらえるでしょう。
迷い、悩んでいるときこそが、あなたの成長の大きなチャンスです。新年度という節目に自分と向き合ってみてはいかがでしょうか。未来に向けての大切な何かが見えてくるかもしれません。
1年間にわたる連載をご愛顧いただきましてありがとうございま した。心の健康について、日頃のちょっとした行動や考え方などをお伝えしましたが、職場やプライベートで活かせるヒントとなれば幸いです。
執筆者 原 美聖 (はら みさと) 上智大学卒。JPモルガンにて資金為替部、グローバルマーケット部に勤務後、株式会社オフィシアを創業。官公庁、大手金融機関、一般企業向けに人事コンサルティング、研修を多数実施。 官公庁・企業向けのコンサルティング、カウンセリング、研修を実施するかたわら、東京家庭裁判所非常勤職員 (人訴事件担当参与員) を務める。また、東京都若者相談 [若ナビ] 事業責任者、日本ゲシュタルト療法学会監査役を歴任。 資格 公認心理師、キャリアコンサルタント、シニア産業カウンセラー、EAPコンサルタント |