執筆者
株式会社オフィシア 編集部
2019年6月に公布され、2020年の施行が濃厚と言われる「改正労働施策総合推進法」では、厚生労働大臣がパワーハラスメントに関する指針(職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針)が発表される予定です。中小企業に関しては、公布から3年間は猶予期間 (2022年4月まで) とされていますが、社員のモチベーションならび人材採用の面から考えるに、中小企業であっても早期の対策が望ましいといえます。
2019年10月には、厚生労働省から指針の素案が公表されていますが、この素案、ならび当社がこれまでパワーハラスメント(パワハラ)に関するコンサルティング・研修を実施してきた経験を踏まえて、事業者は法律施行までに何をすればよいのかについて、まとめました。
経営陣が正しく理解する
多くの企業において、経営陣のパワハラについての理解は十分ではありません。トップがパワハラについて正しく理解せずに、組織にパワハラ対策を浸透させることはできません。よって、経営陣自体がパワハラについて正しく理解する、学ぶことが必要です。
ここで大切なのは、「法律に記されている内容に踏まえて、実際にどのように運用すべきか」についての理解です。短時間で効率的に理解するには、パワハラについての専門的な理解を持っている社労士から講義を受ける、また当社のような人事コンサルティング・人事研修会社からのコンサルティングや研修・講義を受けることです。
会社の方針を作成し周知する
経営陣がパワハラについて正しい理解を得た後に、経営者自身、または担当役員が主体となって、会社の方針作成を行います。この方針には、「会社としてパワハラ対策に取り組むこと」「会社として、パワハラは許容しないこと」「パワハラ被害に遭っている人は相談してほしいこと」「相談者に不利益が生じる取扱いはないこと」は最低限盛り込む必要があります。
そして、作成した方針を全社員が正しく理解できるように周知する必要があります。研修、ポスター、メール、eラーニングなど、複数の方法で全社員の理解を浸透させていきます。
相談窓口・担当者を配置し、トレーニングを実施する
会社の中にパワハラ相談窓口を設置します。これは、単に「相談できる窓口を設置する」こと以上に、「相談を受ける人が正しい知識と対応ができること」が重要となります。企業の経営者の中には、「人事部門に任せておけば大丈夫」と考える方もいますが、当社で具体的にお手伝いさせて頂いたケースを見ると、「人事部門の担当者で、パワハラに対して十分な理解があり、相談対応できるだけの力がある人は少ない」のが実情です。
このため、当社のような人事コンサルティング・研修会社からトレーニングを受けて、窓口担当者に必要な心構え、知識、対応力を身につけて、全ての相談者に対して一貫した対応を行う必要があります。
発覚後のフローを作成する
パワハラがどのような形で発覚するかをシミュレーションした後で、「このようにパワハラが発覚したら、誰がいつ、どの流れで対応する」というフローを作成しておく必要があります。
この際に、被害者(相談者)ならび、行為者のプライバシーの両方を守って対応することが最も大切となります。「フロー全体において、プライバシーは完全に守られているか」を繰り返し確認するのがよいでしょう。
全従業員・管理職向けトレーニングを実施する
社員全員にパワハラに対する理解を浸透させるために、「なぜパワハラがいけないか」「パワハラ行為者にはどのようなデメリットが生じるか」「パワハラ被害者はどのように窓口に相談すればよいか」などを、全社員に繰り返し周知することがまず必要です。
そして、特に管理職など「部下に対するパワハラの行為者」になりかねない立場にいる社員に対して、「そもそもパワハラとは何か」「どこまでがパワハラで、どこからがパワハラではないか」「パワハラが発生した場合、どのように対処するか」などについて、研修を実施します。「パワハラを注意しすぎるが故に、適切な指導が行えない」となってはいけないので、線引きを明確にしておくことが特に大切です。
研修を実施する場合には、当社のような人事コンサルティング・研修を行っている会社を利用するか、人事コンサルティング・研修を行っている会社から十分なトレーニングを受けた社員が講義することが望ましいです。
当社は、上場企業から政府・官公庁まで、年間に数十件のパワハラ対策のコンサルティング・研修を実施する「パワハラ対策のプロフェッショナル」です。パワハラ全般に関するご相談、経営者や管理職向けの研修、また窓口担当となる社員の育成などございましたら、お問合せフォームよりご連絡ください。